MoTeC M1と従来のECUの違い

M800をはじめとする従来のECU(他社製フルコンを含む)の場合、エンジンの各種センサーから拾ったデータをフィードバックして、補正をおこなっています。いわば「直前の情報を元に」して「次の設定の帳尻を合わせる」という制御です。

これに対し、M1系ECUは精密なベースプログラムで、まず「M1とエンジンを同調」させ、M1が自分の手足のようにエンジンを制御します。
例えば従来のECUが「歩くためには、まず右足を出して、次に左足を出す」という考え方をするのに対して、M1は「歩こう」と考えるだけで歩き出します。人間と同じで、歩く際に左右の足を交互に出すのは当たり前であり、ここには、「後追い制御」と「先読み制御」ほどの違いがあります。
具体的なセッティングで説明すると、M800ではインジェクターをどれくらい開くか調整するところで、M1は吸入空気量(充填効率)を数値化して入力します。つまり、これまでとは制御の考え方自体がまったく異なるのです。
この最強の制御を構築するにあたり、従来のセッティングとは違う「エンジンごと、車種ごとの詳細な初期設定」のパッケージ(プログラム)が不可欠ですが、MoTeCからは車種別のパッケージも発売されています。M1本体、専用パッケージ、M1チューンの組み合わせで、次世代のドライブフィールを体感してください。

MoTeC M1本体

使用する車両や仕様に合わせてパッケージ(M1専用アプリケーション)を入れ替えることで、従来のような「汎用ECU」ではなく、「専用ECU」として性能を発揮できるのが特徴です。この進化により、従来モデルの8倍という圧倒的な処理速度を手に入れました。
また、従来はオプションだったデータロガー、電スロ、可変バルタイ、ラムダコントロール機能を標準で搭載しています。
標準モデルは最大8気筒用と最大12気筒用です。この他に直噴用、ディーゼル用(開発中)をラインアップ。さらに、過酷なシチュエーションでの使用に対応するASコネクターモデルも御用意しております。

汎用M1パッケージ

MoTeC M1の制御に必須となるパッケージ(M1専用アプリケーション)には、車種専用モデルだけではなく、汎用フルコンとして使用できる物があります。イメージ的には、従来のM800系ECUのように、さまざまな種類のエンジンに取り付けて制御できる物とお考えください。
スタンダードに使用するタイプが「GPA」、レース用の「GPR」、レース用にパドルシフトコントロールを追加した「GPR-P」を、それぞれポート噴射用と直噴モデル用に展開しています。
パドルシフト用のGPR-Pは、「市販2ペダルMT車用」ではなく、シーケンシャルミッションをパドル制御する、レース用となります。また、パドルスイッチ、ポンプ、アキュムレーター等をセットにした、パドルシフト用のハードウェア(画像参照)のセットも御用意可能です。詳細はお問い合わせください。

車種別M1パッケージ

車種別、エンジン別に特化したパッケージ(専用アプリケーション)は、複数のコンピューターが車内で相互通信している現代の自動車に組み合わせて使用できます。
純正ECUを外して置換するため、リミッターや強制的な制御に介入されることは無くなり、アクセルレスポンスやエンジンフィーリングの圧倒的な良さを体感できます。
既に発売されているR35GT-R用や86/BRZ用のパッケージでは、従来のセッティング機器とは比較にならないハイパフォーマンスを発揮し、ストリートからフルチューンのレース用まで、多くの御客様から御好評を頂いております。

M1チューン

MoTeC M1のセッティングに不可欠な、専用ソフトウェアです。利用可能なPCは、Windows XP(SP3)~10(無料ダウンロード)で、MAC OSは非対応です。
データロギングソフトi2に準ずる表示が可能となったことで、チャートレコーダーを利用したセッティングの自由度が増しました。

従来以上に知りたい情報を可視化できるため、より精密なチューニングができます。M1とPCの接続にはLANケーブルを使用し、大容量化したログデータも高速ダウンロード可能です。

M1ビルド

MoTeC M1+車種別パッケージは純正ECUとの完全置換を実現し、エンジンのパフォーマンスを最大限に引き出すことが可能です。ただし残念なことに、対応車種は限られています。そこで、車種やエンジンに特化させた、専用パッケージを御自分でプログラミング、開発、販売するための専用ソフトも御用意しております。86/BRZのエンジンスワップ用パッケージなどは、このような需要から開発された物です。詳細はお問い合わせください。